曹長青評論邦訳集   〜正気歌(せいきのうた)〜

 「正気歌」とは中国南宋末の宰相、文天祥の詩の題名です。日本では「せいきのうた」と読みならわしています。正気とは天地のただしい“気”(万物を構成する根本要素・陰陽に分かれる)のことですがここでは節操のことです。正義の意味もこめられています。
 文天祥はモンゴル帝国(元)に圧迫され滅亡が目前にせまった南宋を最後まで支えた人物です。当時の中国における最高政治指導者であるばかりでなく、みずから軍を率い一指揮官として各地で奮戦し、ついに元軍にとらえられました。地下の土牢に幽閉されること3年、たびたびの投降勧誘をすべて拒絶し、ついに死刑に処せられました。最後には元皇帝フビライがその人物を惜しんで直接説得したといわれています。元で宰相ポストを用意しようという条件を一顧もすることなく拒否して、文天祥は従容として死に向かいました。「正気歌」はその土牢での幽閉中に作られたものです。
 曹長青氏の言論には文天祥を思わせる節操と正義の信念があります。中国では滔々として愛国主義が鼓吹され、少しでもそれに疑問を呈する人間は非国民として非難迫害をうけます。これは中国国内だけでなく、国外の中国人社会でも同じ事です。その異常な状況の中で、たとえ社会一般の流れとは正反対であろうともみずからが正しいと信ずる意見を憚ることなく書き、発表し続ける曹氏の言論はまさに現代の「正気歌」といえると、私は思います。
 
曹長青氏個人ウェブサイト「曹長青網站」
http://www.caochangqing.com


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