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中国憲政改革

『民主怎様才能来到中国』
(民主はどうすれば中国へもたらされるか)

(厳家祺著、遠流出版公司、台北、1996年10月、229頁)

本書目次

前言
1 二度の憲政改革運動
  清朝末期における憲政改革運動
  国民党大陸統治期の憲法制定運動および憲政運動
  嘘からでた真――台湾の憲政改革運動と民主化
2 憲政とは何か
  憲政の三要素
  憲政と民主
  憲政と法治
  憲政と人権の保障
  憲政成長のための社会的条件
3 現在の中国大陸の体制は憲政からほど遠い
  二つの政治制度の重複
  何層もの選挙と指名権によるコントロール
  全国人民代表大会代表の選出
  蜂の巣構造と準唖議会
  準備的性質を持つ「三院制」議会
  政府の上の「政府」
  憲法があるが憲政はない統治
4 二種類の国
  「立憲の準備」と「訓政」
  「新権威主義」
  「大動乱危険論」
  国情の分類
  いわゆる「盲流」問題
  人口増加問題
  いわゆる「人的素質」の問題
5 憲法体制――現実的な基礎を持つ理想の体制
  ユートピアと社会の理想
  憲法の原則
  国家構造
  議会制度
  大統領制か内閣制か
  司法制度
6 憲政改革の三段階
  憲政の自然成長
  人民代表大会制度の建設
  人民代表大会の直接選挙とその議会化
  両岸の統一と憲法制定会議
7 いかにして憲法にその実質的機能を発揮させるか
  憲法の持つ二種類の実質的機能
  憲法制定の手続き
  憲法の実質的機能の喪失
  情報の自由:第四の権力
8 民主成長論
  既存秩序の崩壊
  専制政権の退場は民主制度の樹立を意味しない
  「柔軟な政治構造」は民主の成長の条件である
  「嘘からでた真」から民主へ
  民主は夢ではない
  二十一のステップ

内容要旨

 この書籍は以下に述べる3部分からなる。

1.中国共産党全国大会や全国人民代表大会の「蜂の巣構造」を分析することにより、中国共産党中央政治局の少数の個人が「政治支配」を行い、十二億もの人口を抱える大国家である中国を統治している事実を立証する。

 中国共産党全国大会や全国人民代表大会の構造を詳しく分析したうえで、それらが中国共産党中央政治局の幾人かによる専制支配を保障するための制度にすぎない現状を明示してその問題点を指摘する。

2.中国近代史上の二度にわたる憲政運動の経験を総括して教訓を引き出し、次いで現実の政治制度と「憲法政治」との距離を分析する。

 中国に民主主義を確立するためには「憲政」――新たな憲法の制定と政治制度の確立――が必要であることを立証する。

3.中国の抱える事情の分析を行い、それに基づいて中国における憲政改革のために踏むべき3つの現実的な段階を提示する。さらに、中国が市場経済を発展させるのと時を同じくして憲政改革を実施し民主主義の社会を実現すべきことを説く。

 2で行った分析の上に立って、これらの機構を民主的で中国全国民の意志を反映する存在へと変革するための具体的な漸進的方法(「新憲政運動」)を提案する。


 この「新憲政運動」は以下の3つの段階からなる。

1.現行憲法の枠組みのもとで人民代表大会制度を改革する。

2.憲法を改正し、全国人民代表大会代表選出方法を直接選挙にして人民代表大会を議会化する。

3.憲法制定会議を召集し、中国の平和的統一を実現する。

 この第3段階において、台湾、チベット、新疆ウイグル、内モンゴルの問題を解決するために、連邦制を採用する。


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